過去
一般的な少し貧しい獣天狗の家に生まれた。なぜか妹の霊羽が大天狗に気に入られたため、付き添いで大天狗の屋敷にたまに通っていた。霊羽が大天狗の元へ行った後は、いつもリンと話していた。
十五歳、猛間(夏)のある日、位の高い天狗に、武器倉庫へ荷物を取りに行くように頼まれ、一人で倉庫へ向かった。倉庫の扉を開けた瞬間、斬殺された貴族の天狗が降りかかってきた。怯えて逃げようとしたが、別の天狗に見つかり、貴族殺しだと大騒ぎに。
死体にぶつかった時についた血、頼まれて取りに行った武器による殺害、妹が優遇されている嫉妬など、あれこれ理由づけされ、犯人にされてしまう。認めろと大衆の前で拷問されるが、否定し続けた。意識が遠のき始めた時、最後の力(堕落族の力)を振り絞り、隙をついて逃げ出す。紅葉岳を後にして、野老屋の森方面へ。そこで力尽き、風沙梨に見つかった。
風沙梨に手当てをしてもらい、無事回復したが、しばらくの間は心を閉ざしていた。風沙梨や野老屋村の住人に優しくされ、ゆっくりと自分を出せるようになっていった。
(冤罪は大天狗が仕組んだもの。発見者も大天狗の関係者。堕落族の生まれ変わりを排除しようとしたため。過去の事は風沙梨に話していない。)